自己肯定感について。アニメとか本とか映画とかからの学び・感想。

どんなことも、自己肯定感につながると思うのだ。なので、学んだことを記していきます(無理やりのときもあります)

【本】「首折り男のための協奏曲」感想①②(著:伊坂幸太郎)

やっぱり読んじゃった。読んじゃったよ。

読み始めたら止まらないよ。

もう、伊坂さん、大好きだよ。

天才だよ。

※ネタバレあります。

 

この本は、短編7編入っていて、

それぞれ違う雑誌というか、に載せていたそうなので

特につながりがあるわけではないのだけど、

ゆるくつながっていましたよ。

 

最初の本の折り返しのところがいいよね。

「協奏曲」についてと「首」について書かれているんだけど

(文庫ではなく単行本で読みました。文庫にこれがあるかはわかんない)

「首」のところに

「人間の首は、この『首折り男のための協奏曲』に収録されている

物語の数と同じ7つの頸椎によって支えられている」

ってある。

そう、この7つってとても不思議。

キリンも頸椎7つなんだよね。

キリンも7つっておかしくない?

あんなに長いのに。どういうことなんだろう。

「協奏曲」のところも面白くて

「上手なピアニストと上手なオーケストラが

同じステージに立ったからと言って、名演になるとは限らない」

ってあって、プッ!って笑った。

ラーメンだって、最高峰の麺と最高峰のスープを合わせたからって

絶対美味しいとはかぎらないんだよね。

「相性」っていうのもあるからさ。(違うか)

 

①首折り男の周辺

この話、何かで読んだんだよな。

多分、雑誌に載っている奴を読んだんだと思う。

多分立ち読みで(笑)

これさ、本当によくできてるんだよ。

最後の1行でほんとに「!!!!」ってなる。

よく言うじゃん。

「最後の一行に、あなたは驚愕する」って。

いや、ほんま、それ。

驚愕、っていうか、

「おいおい、伏線全部回収していきやがったぞ」

って感じ。

うまいことまとめたな!!って感じ。

もう、その一行読んだときに

「天才!もう伊坂さん天才!!」

って叫んだもんね。

この話だけでもいいから読んでほしいわ。

で、読んでほしいわ、といいつつ、

全部書いちゃったので、

読む予定の人はここでおしまいにしてください!

 

 

内容としては、首が折られる事件が連続で起こるんだけど、

(首折るの好きだよね。伊坂さん(言い方!)。

まあ、一番足がつきにくい、という方法なのかもしれないけど)

その犯人が「隣のお兄さんじゃないかしら」

と気になるご夫婦の奥さんの方。

ちょっと身体的に特徴的で、確かにってなる夫の方。

ちょっとガタイのいい、ずんぐりなイメージを持ったが、

違ったらごめんなさい。

ほらあの、スラムダンクの花道の友達の、

ちょっと背の低い眼鏡かけてる丸い人、

あの人の背をもう少し大きくしたイメージ。

で、その隣のお兄さん自身は、とても小心者で、

実はいじめられ体質だったりする。

そういえば、いじめられる、っていうのも、

よく出てくるよな、伊坂さんの話に。

きっと、怒ってるんだろうな。

で、借金取りに追われてたりするんだけど、

ご本人も「大藪」って人に間違われる。

その「大藪」は、どうやら危ない仕事をしてるっぽい。

で、いろいろあるわけなんだけど(端折る)

「大藪」が助けようとしていた、リンチされそうになってた

男の子がいて、

(お化けをみたという友人とのたわいない話から

お化けを否定してしまったことでいじめに発展してしまった。

ああ、そうなんだよね、こういうことあるよね。

だから、学校なんて嫌いだ!)

「来週来るよ」って言ったんだけど、大藪はこなくて、

たまたまお隣のお兄さんが通りかかる。

「来てくれたの?!」って言ったら、

「俺じゃないんだ」とか言って去られてしまい、

リンチされそうになってた彼は絶望的になるんだけど、

お隣のお兄さんがなんか「大藪」が乗り移ったような気がして

助けにくるんだよね。

ここがさ、助けに来るっていうよりは、

「俺だってできるはずだ、バカヤロウ!」って

バカヤロウは誰に言っているのか、自分に言っているのかわからないけど、

そんな感じがして、押しつけがましくないって言うか、

助けに来たヒーローとかではなくて、どちらかといえばヒールで、

なんというか、そこがいい。

で、大藪は、と言えば。

お隣のお兄さんに間違われて借金取りのところにいって、

そいつらを皆殺しにしてるんだよね。

で、なんでかわかんないけど、大藪も死んでる。

で、リンチされそうになってた男の子は隣のお兄さんに助けてもらって、

ニュース見たら、その時間にはもう大藪は死んでて。

「え?おばけ?」っつって。

ここよ。ここからよ。書くのやめとくわ。

天才よ。

おばあさんとか、小さい子を連れたお母さんを助ける

その助け方もすごくよかった。

誰かが怒り始めてしまえば、ほかの人が怒ることはない。

行き場をなくす。

だから、ガタイのいい俺が先に趣旨を伝えたうえで怒ることで、

堂々ともたもたできる、という話。

自分が憎まれ役になることで、相手を助ける。

これ、ほんとにかっこいい。

いま、子どもたちがルパン三世見ているんだけど、

ルパンもそうなんだよね。

私にとってルパンは本当にかっこよいの代名詞なんだけど、

そういうことなのかもしれない。

いやあ、見習いたい。

私は、自分の評価が下がるのがとても嫌なので、

そういうことできないから。。。

もう、オバハンになったんだし、憎まれ役とか

アホ役とか、できるはずだ。

どちらかというと、アホ役の方が私はプライドが傷つかないので、

そちらからやってみようと思う。

 

②濡れ衣の話

これもさ、そうそう!っていうところから始まるんだよ。

子どもを車で轢き殺されたお父さんが、

その犯人の女性にあってしまう。

5年経つのに同じマンションに住んでいること、

特に気にしている感じもないことに絶望し、

怒りがこみあげてきて殺してしまう。

殺しても息子は帰ってこないのに。

そう、ここが。

「そんなことをしても、息子さんは帰ってきませんよ。

 息子さんが喜ぶと思いますか」

みたいな止め方をよくしますが、そうじゃない。

そうじゃないよな、って思ってた部分を、代弁してくれました。

「自分の人生を台無しにした女を殺害したことで

さらに私の人生が台無しになるのは、どこか悔しいといいますか

やりきれない思いを感じます。

彼女に私と同じ苦しみを与えたうえで、息子が戻ってくるのであれば

まだバランスはとれているように感じますが

息子は失ったままで、さらに私も犯人として罰せられるとなれば

釈然としないものがあります」

そうそう、そうなのです。

そちらはわざとじゃないんでしょう。

それはわかりますよ。

でも、じゃあ、こちらが受けた苦しみは、どうしたらいいですか。

どうしてなんの落ち度もないこちらが、

ただ奪われ、苦しまないといけないんですか。

「理不尽」

「不条理」

この世の中には理不尽がたくさんあることもわかる。

だから、自分をその理不尽な波が翻弄するならば、

ただ嘆くのではなく、その中をいかに泳ぐかを考える。

(「暗殺教室」より)

それはわかるし、その意見には納得だ。

でも。

耐えられない理不尽を被ったとき、

どうしたらいいんだよ、っていう。

すごい、このお父さんには、同情というか

同感というか、共感というか、してしまった。

そして、現実には許されなくても、

制裁してくれて、うまいことまとめてくれた伊坂さんに

ありがとうを言いたい。